2017年8月13日日曜日

国際結婚した子供の国籍

我が家は日本人の私とニュージーランド人の主人との国際結婚です。2人の子供はいわゆる「ハーフ」で、現在日本国籍とニュージーランド国籍を両方持つ2重国籍です。そんな2人ですが、1人はニュージーランドで、1人は日本の病院で生まれました。この違いが原因で、国籍を獲得する際の手続きが異なっていました。今回はその時のことについて書いてみたいと思います。




日本国籍を得る資格

法務省のホームページによると、日本国籍を取得する「原因」には,出生届出帰化の3つがあります。私たちの様な日本人と外交人が国際結婚した両親の子供の場合、出生時の手続き漏れがない限りは「出生」によってほぼ自動的に日本国籍を有することなります。


出生によって日本国籍を得る条件

厳密には、出生によって日本国籍を得る条件が下記のように決まっています。
1、出生の時に父又は母が日本国民であるとき
2、出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であったとき
3、日本で生まれ,父母がともに不明のとき,又は無国籍のとき


子供の日本国籍取得には法律上の親子関係が必須

最も一般的に当てはまるのは上記の1の「出生の時に父又は母が日本国民であるとき」という条件だと思います。しかしこれは出生の段階で「法律上の親子関係が確定」していなければならないという条件があります。

日本人の親ともう片親が婚姻をして子供が生まれたのならば「法律上の親子関係が確定」に当てはまるため問題ないです。もし事実婚などの場合では、生まれる前に法的に認知されている必要があります。海外では事実婚のカップルも多いですが、国際カップルで子供に日本国籍を出生により取得させたい場合は要注意ですね。


生まれた場所は関係なく日本国籍を得られる

上記の「出生の時に父又は母が日本国民であるとき」で重要なのは、日本人との「法律上の親子関係が確定」という条件さえ合えば、生まれた場所に関係なく出生による日本国籍獲得の条件となる点です。

日本国外で生まれても国内で生まれても、日本国籍取得には関係が無いということになります。日本人的には「そりゃそうでしょ」と思うかもしれませんが、国籍取得条件と出生地の場所の関係は国ごとに違います。


ニュージーランド国籍を取得する条件

一方ニュージーランドでは、現在ニュージーランド国籍を取得する方法として3通りあります。

1.出生 Citizenship by Birth 「出生による国籍取得」
2006年以降では、ニュージーランド国内で生まれ、加えて親の片方がニュージーランド国籍またはニュージーランド永住権を持っている必要があります。

2Citizenship by Descent 「家系(血統)による国籍取得」
主にニュージーランド国外で生まれたニュージーランド人の子供に適応されます。親の少なくとも片方がニュージーランド国籍をBy Decent以外で取得している必要があります。

3Citizenship by Grant 「国籍の付与」
特定の条件を満たした場合に、国籍の取得が認められる場合です。ニュージーランドに移住してきた移民で、何年も仕事&定住してニュージーランド国籍を得る場合はこれにあたります。

つまり、「出生」によって国籍を得るためには、ニュージーランド国内で生まれていることが必須条件となります。ニュージーランド国内で生まれたか、国外で生まれたかで条件が異なる点が日本国籍と違いますね。



ニュージーランドで生まれた第1子の場合

さて、私たちの第一子はニュージーランド国内の病院で生まれました。親の片方が日本人のため、出生届さえ提出すれば自動的に日本国籍を「出生」によって得ることが出来ます。
詳しい情報については領事館・大使館のホームページに記載がありますのでこちらを参考にしてください(http://www.auckland.nz.emb-japan.go.jp/itpr_ja/ryoji_koseki01.html)。

概要としては、出生届と、出生証明書(=Birth Certificate)の原本を日本大使館・または領事館へ持参して手続きをすれば日本国籍を保留できます。ただし、これは出生から3か月以内に行う必要がありますので、出生前から情報集めをしておいて、出産後は速やかに出生届を出しておくと良いでしょう。

この出生届の提出は、大使館の方も手伝ってくれるので特に難しくなかったです。ただ、日本の戸籍に反映されるまでに時間がかかるとのことで、我が家の長男の時は3か月くらい掛かると言われました。赤ちゃんを連れて日本に渡航したい場合、パスポートを申請する必要がありますが、これには赤ちゃんの記載がある戸籍証明を取得する必要なので、出生届提出後パスポート取得までしばらく待つ必要がありました。


日本で生まれた第2子の場合

第二子は、日本の病院で生まれました。地元の役所への出生届の提出により自動的に、「出生」による国籍取得ができました。

しかし、ニュージーランド国籍はニュージーランド国外生まれていたため「By Birth」による取得が出来ないという状況になりました。そこで「By Descent」による国籍の取得をする必要がありました。


By Descentによるニュージーランド国籍の取得手続き

まあ、片親がニュージーランド人なんだし、第一子の時みたいに大使館で手続きをチャチャっとするだけかな?と思ったら違いました…

基本的に申請手続きはほぼ自分で行い、直接ニュージーランドの担当部署に送る必要がありました。詳しい情報は下記のホームページに記載があります。

国籍取得の際に、その後のニュージーランド国籍の証明書としてパスポートも同時申請する必要があります。諸々の手続きで300NZドルほどかかる他、子供の身元証明人による署名が必要となります。この身元証明人の署名を得るのも苦心しました。

身元証明人には誰でもなれるわけで無く、「親族以外でニュージーランド国籍を持ちかつ子供が生まれたころから(または一定期間以上)知っている」親族以外で子供が生まれたころから(または一定期間以上)面識があり、ニュージーランド国籍は持たないが特定の職業(医師とか法律関係など)についている」などの条件を満たす必要になります。

結局我が家は、子供が生まれた時からお世話人あっている医師に署名をお願いしました国籍取得の書類がすべて英語な上、保証人にはニュージーランド側から確認の電話連絡が行くこともあるようで、大変なご迷惑をおかけしました。

第一子の時と違って、第2子の「日本で生まれた子供のニュージーランド国籍の取得の手続き」のほうが相当面倒くさかったです。


ニュージーランド国籍の取得が「By Birth」の子供と「By Descent」の子供の違い

このように、ニュージーランド国内で生まれた第1子と日本で生まれた第2子ではどちらも日本国籍の取得は「出生」によるものでしたが、ニュージーランド国籍の取得に関しては、「By Birth」と「By Descent」で異なりました

では、この取得の違いは何か今後に影響があるのでしょうか?実は、さらにその次の世代の国籍取得に関して、違いがあるのです。


ニュージーランド国籍「By Birth」の子供と「By Descent」の子供の違い

ニュージーランド国籍取得方法の1つ、「By Descent」には、親の少なくとも片方がニュージーランド国籍を「By Descent以外で」取得している必要があるとありました。つまり、By Descentでニュージーランド国籍を取得した人の子供が、ニュージーランド人以外と結婚して子供を産んだ場合、By Descentでニュージーランド国籍を取得することが出来ないのです。

これが関わってくるのは例えば、ニュージーランド国籍を「By Descent」取得したうちの第2子がニュージーランドで育ちその後ニュージーランド国籍を選んだとします。その後、日本人と結婚して、その子供が日本で生まれた場合です。私から見ると孫にあたる子供ですね。

この場合その子供はニュージーランド国籍を取得する条件である「By Birth」は日本で生まれているため適応されません。「By Descent」についても、「親がBy Descent以外でニュージーランド国籍を取得している」という条件が満たされないため適応されず、ニュージーランド国籍を取得できなくなってしまいます。


ニュージーランド国内で生まれるか否かはその下の「孫世代」に影響がある

上記の例をまとめると、私たちの様な日本&ニュージーランド国際結婚で生まれた子供の場合、ニュージーランドで生まれたか否かによって、ニュージーランド国籍取得条件が異なり、その違いは孫世代のニュージーランド国籍取得に影響が出る、ということです。

ちょっと複雑ですね。将来の様々な可能性を考えると今から心配するようなことでは無いかもしれません。しかし、知識として知っておくのは良いことだと思います。少なくとも私はこれを知った時、「えっそうなの?」と驚きました。


By Descentの子供はニュージーランド国籍になれないのか?

上記の孫世代の例ですが、ではこの子供はニュージーランド国籍を絶対に取れないのかといわれると、そうではありません。まだ「By Grant」による国籍取得は可能だからです。

片親がニュージーランド国籍であることに変わりはなく、もしこの家族が日本でなくニュージーランドで生活をするとなった場合には、「By Grant」の条件を満たして最終的にニュージーランド国籍の取得が可能になるはずです。

ただ、手続きの面倒さや取得までの大変さについては、
By Birth (ほぼ自動的) < By Descent (面倒) < By Grant(かなり面倒?)となるはずです。



国籍取得の違いが国によってある

このように、我が家の場合は最終的に、子供2人とも手続きの違いこそあれ日本国籍、ニュージーランド国籍の取得に至りました。現在2重国籍状態になっており、22歳になるまでに、日本国籍を維持するか手放すかを決める必要があります。

国籍の取得条件が国によって違うため、子供が生まれた場所により違いが出てくるというのは、国際結婚して子供が生まれて初めて勉強になりました。この様な知識をつけなければいけないのも、国際結婚独特のところかなと思う一件でした。


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